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大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)4627号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実〕三、被告の損害賠償責任

(一) 被告が、Yに対し、前記合意により昭和四四年一二月より代金延払いでヒーター用マイカを納入することを約し、昭和四五年一二月までYの延払いを認めながら、昭和四六年一月に至つて買掛金の一括決済を迫り、Yが右合意のあることを理由に一括決済を拒否すると右マイカの納入を停止したことは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二条第七項第一、四号、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号「不公正な取引方法」の「一‥‥またはある事業者に対し不当に物資、資金その他の経済上の利益を供給せず、もしくはその供給を制限すること。」に該当する。

(二) 被告が、Yに対し、前記のとおり延払いを約しながら、Yに対し多額の債権を有する優越的地位を利用して、昭和四六年一月に至つて、合理的理由もないのに、前記合意に反し買掛金の一括決済を迫つたことは、同法第二条第七項第五号、同告示の「十 自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」に該当する。

(三) 被告が、Yおよび原告が内外との継続的取引を失い結果として被告と内外との取引が増大するようになることを企図して、Yおよび原告と内外との取引を妨害するために、前記二通の内容証明郵便を内外に送付し、内外をして前記のとおりYおよび原告への支払いを拒絶させて取引を妨害し継続的取引の続行を阻止したことは、同法第二条第七項第三号、同告示の「十一 自己‥‥と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との間の取引について、契約の成立を阻止し、契約の不履行を誘引し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、その取引を不当に妨害すること。」に該当する。

(四) よつて、被告は、同法第二五条により、Yの権利を承継した原告に対し、被告の右行為によつてこうむつた後記損害を賠償する責任がある。

四 原告の損害

(一) Yは、内外との前記取引により、昭和四五年一二月以降昭和四六年三月ごろまで、毎月一万個強のバンドヒーターを内外に納入し、その売上金額も一か月二〇〇万円ないし六〇〇万円と順調な伸びを示していたものであつて、Yの営業を引き継いだ原告も、同様の業績をあげ、同年四月から少なくとも同年一二月まで毎月一万個合計九万個のバンドヒーターを内外に売り渡すことができる筈であつたところ、被告の前記二および三記載の行為により、営業上の信用を害され、一時月末の支払いに窺し、量産体制に支障を生じ、内外の申出により納入数量を削減され、同年四月からはまつたく納入できなくなつた。右バンドヒーターの単価二八〇円のうち一〇〇円は原告の得べき利益であるから、原告は、九万個分合計九〇〇万円の得べかりし利益を失い、同額の損害をこうむつた。

〔判決理由〕本訴請求は、原告主張にかかる被告の各行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二条第七項第一、三、四、五号、昭和二八年公正取引委員会告示第一一号「不公正な取引方法」の一、十または十一に該当するとして、同法第二五条による損害賠償を求めるものであるが、同法第二六条第一項によれば、右損害賠償の請求権は、同項掲記の審決が確定した後でなければ、裁判上これを主張することができないものであるところ、本件損害賠償の請求について右審決を経ていないことは本件当事者間に争いがないから、本件訴は、不適法として却下すべきものである。

よつて、本件訴を却下する。

(大江健次郎 楠賢二 庵前重和)

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